谷口 弦 / GEN TANIGUCHI

mukei
2024.12.14 ~ 2025.1.19

佐賀県名尾地区に伝わる伝統的な和紙作りを受け継ぐ谷口弦の個展を開催いたします。

名和紙は、約300年の歴史を持つ伝統工芸品です。地元の豊かな自然資源を活かして作られる和紙は、住空間や日常生活で使用する紙だけではなく、神事などの神聖な場面にも広く用いられてきました。多様な用途を持ちながらも、常に霊性を帯びる特有の美しさにより、名尾和紙は人々の生活と精神性に深く根付いてきた無形の文化的遺産といえます。こうした背景の中で、谷口弦は「和紙そのものに空間が存在する」と考えるようになったと言います。

本展の作品である“mukei" シリーズは一枚の和紙の中にカオスと秩序を同時に存在させています。それは和紙の中にある無形を観測するための行為であり、鑑賞者と和紙の間に新たな関係性や対話を生みます。自然と人間が織りなす和紙という現象に秩序を見出すことで、この世界が全て関係し合っているという普遍的な構造を再認識し、混沌とした世界を生きる私たちに新たな空間を提示します。

自然の恵みと職人の技が織りなす和紙の美しさと、谷口弦の革新的な視点が融合した作品を通じて、伝統と未来が共存する世界をぜひご体感ください。