百田 暁生 / Akio Momota|1616 / arita japan Exhibition

2025.8.16 ~ 2025.9.21

このたび一初では、佐賀県・有田にて異なる二つの白磁と向き合う展覧会を開催いたします。
私たち一初は佐賀県・有田にて、白磁というひとつの純度を介し異なる二つの意志と対峙しました。同じ風土に根ざしながらそれぞれ独自の歩みを重ねてきたふたつの白。その並置がもたらす微細な差異と共振に本展は光をあてます。異なる視座から生まれた造形が、有田という共通の背景のもとで交差することで伝統と現代、工芸とデザインの間に立ち上る透明な響きを探る。
本展は、そうした重なりのなかに現れる新たな関係性を提示するものです。



百田 暁生 / Akio Momota
https://www.instagram.com/inblue_akatsuki/

佐賀県・有田を拠点に活動する陶芸家。
2015年に工房兼ギャラリー「inblue 暁」を設立し、白磁・青白磁を基軸に、土地の記憶や自然の気配を投影させた作品を生み出してきました。作家の祖先は、鍋島藩のもとで窯業に従事していた記録が残されており、その血脈に刻まれた焼きものへのまなざしが現在の制作にも深く通じています。伝統を引き継ぎながら現代にふさわしい形と釉薬の在り方を問い続けてきました。有田という風土がもつ静けさや豊かさを、磁土と釉薬を通じてすくい取り、時に金やプラチナといった上絵の表現にも挑みながら独自の造形へと昇華させています。
本展では、これまで用いなかった色という要素に踏み込み新たな試みとしての作品群が立ち並びます。



1616 / arita japan
https://1616arita.jp/

有田焼の発祥とされる佐賀県・有田。
1616年、李参平により日本初の磁器が焼かれて以来妥協のないものづくりの精神は脈々と受け継がれてきました。その歴史と向き合いながら2012年に立ち上げられた〈1616 / arita japan〉は、デザイナー・柳原照弘をクリエイティブディレクターに迎え、有田の伝統と現代のデザインを架橋する新たなブランドとして誕生しました。伝統的な技術を背景に持ちながらも、これまでの有田焼とは異なる視点から素材と形に向き合い、シリーズごとに異なるデザイナーとの協働によって多様な器を生み出しています。
柳原自身が手がけた「スタンダード」では、現代の食卓に寄り添う実用性を重視した造形を提案。オランダのデザインデュオ、ショルテン&バーイングスによる「カラーポーセリン」は、日本の伝統色を現代的に再構成した華やかなシリーズとして知られています。2018年には、フランスのピエール・シャルパンによる装飾性とフォルムの関係性を再考した「アウトライン」が発表され、2021年には、デンマークのセシリエ・マンツによる静かな柔らかさをたたえた「クレイ」が加わりました。そして2025年にはリカード・マンツ(1933-1999)がデザインした原案を元にした「Tea Cup」と「Hojicha Cup」が新たにコレクションに加わりました。
伝統の延長線上にありながら、未来に開かれたかたちを探る1616の試みは、有田という土地から世界に渡り評価を集めています。