テラダ ヒデジ / HIDEJI TERADA

民が
2025.10.4 ~ 2025.11.9

本展は、日常の営みとして受け継がれてきた日本の行事や信仰、風習に込められた祈りや願い。それらに通底する「民」の感性を現代の視点から掘り起こします。
テラダはこれまで、古い史料に残された風景や記述、また漢字という表意文字の構造と詩性のあいだに身を置き、かたちと意味の境界を探るように作品を制作してきました。本展では、盆踊りの起源に想を馳せ、型を持たない原初の舞を自由な身体の動きとして描いた《ODOLI》を軸に、顔をもたぬ群像=「民」の姿を多様な形式で表現します。 それは歴史や制度の中で埋もれがちな集合の記憶や声なき声を現代において可視化しようとする抵抗であり、同時にわたしたち一人ひとりの身体に刻まれた無意識の記憶への接続でもあります。
一初は本展を通じて、観る人の内に眠る「日本」の感覚が呼び覚まされ、過去と現在、個と集団、可視と不可視のあいだに新たな風景が立ち現れ る契機となることを願っております。



テラダ ヒデジ | Hideji Terada

日本の暦や年中行事、民間信仰など、暮らしの中に息づく民俗的な営みに着目し、祈りや願いに込められた人々の思いをすくい取るようにして作品を制作。かつての史料に見られる「崩れた文字」のかたちに着目し、意味を担う記号としての「漢字」の構造を解体・再構築することで、無意識のうちに私たちに染みついた文化的記憶を可視化している。絵と文字、かたちと意味、そのあわいを往来しながら、日本の民衆文化の気配を現代に蘇らせるような表現を続けている。