ヨコサカタツヤ / TATSUYA YOKOSAKA
“ DISCOVERY ”
2026.2.28 (Sat) ~ 2026.4.5 (Sun)
本展の舞台は、20××年代。
人類が何らかの方法で滅んでから100年か、もしくは200年後の世界です。
そこでは、ひとりの男が、往年の名車・ポルシェをタイムマシンに改造し、人類が絶滅する前に帰ろうと、資料や部品を集めています。しかし、人類が残した様々な遺物たちの意味を把握することは難しく、プラモデルの箱のように見えるそれが意味するところも分かりません。
同じ場所から見つけ出した一枚の絵がセル画と名付けられていたことも知る由はなく、消え去った人類の叡智と繁栄はただ風化したままです。
ヨコサカは、コロナ禍の真っ只中にあるとき、画材屋に行くこともできず、家にあるもので作品を作ろうと様々な試みを行いました。
描き損じて放置したままになっていたキャンバス、なにか書類が入っていたクリアファイル、手に取れるものを使って、人類が滅んだ後の風景を描いてみようと試みる過程でセル画の技術を応用しながら、たどり着いたのが、近年発表してきたキャンバスにセル画を重ねて完成される作品たちです。
そこでは、ヨコサカが自分の原風景だというアニメ的な風景が、人類滅亡というコロナ禍において文字通り未知への恐怖が生み出した想像と接続し、その後に制作された作品たちへと繋がっていきました。
本展では、「DISCOVERY」を起点としながら、ヨコサカがこれまで描いてきた複数の時間軸を往還します。
彼の作品に現れるモチーフは、特定の物語を語るためのものではなく記憶の回路を起動させるために存在しています。
そこではかつて共有されていたはずの視覚言語がわずかなズレを伴いながら再提示されています。
「DISCOVERY」は、
“スペースシャトルや、大航海時代の船、なにか新しい世界に探検するときの船の名前は大抵これだと私は勝手に(だけでなくおそらく多くの人が)思っています”
という作家の言葉の通り、「おわり」の段階を経た人が再び立ち上がり、新たな可能性を探る旅へと出る世界を示しています。
日本のオタクカルチャーにある共通認識や共通言語のストックにもあるこの言葉は重大な船出を想像させ、本展にあたって発表する作品の制作にあたってのヨコサカタツヤのモチベーションを象徴しています。
本展の開催地である岡山は、ヨコサカが作家として最初の発表を行った場所です。
人類が残した遺物を手がかりに時間を遡ろうとする「DISCOVERY」のように、作家自身の出発点にあらためて立つことは、その探求を現在の時間のなかで続ける試みでもあります。
ヨコサカの作品において描かれているのは、何かを新しく発見する瞬間というよりも
すでに失われたものにもう一度触れようとする行為そのものです。
それは懐かしさと新しさが区別される以前の未分化な感覚。
ヨコサカの作品を通し、それぞれの記憶と経験を通し個人的な発見に出会うことになるでしょう。
ヨコサカタツヤ|Tatsuya Yokosaka
1981年 群馬県生まれ。東京を拠点に活動。
2023年の個展『DISCOVERY』ではポルシェを題材にしたシリーズを発表。
自身はクルマ愛好家ではないという立場から、象徴的なモチーフを再解釈し、異なる要素を組み合わせることで既存のイメージを解体・再構築した。この姿勢は、対象への憧れよりも「距離」を保ちながら観察する横坂の制作態度を象徴している。
専門学校卒業後、デザイン会社勤務を経て独立。
長い下積み期間を経ながらも制作を継続し、評価を高めてきた。現在は日本国内にとどまらず、フランスや台湾など海外でも個展を開催。文化や言語を越えて共有される視覚体験の可能性を探求している。
2021 アートフェアアジア福岡(博多阪急、福岡)
2022 初個展『おわり』(KATSUMI YAMATO gallery、東京)
2023 個展『WEDNESDAY』(GALLERY JO YANA、フランス)
2023 個展『DISCOVERY』(HEX、東京/SOKA ART、台湾)
2024 個展『LIFE』(SOKA ART、台湾)
2025 個展『ZENTAI』(SOKA ART、台湾)
G-SHOCKおよびTHIS TIME magazineのポスターアートワークも手がけるなど、アートとカルチャーの接点を横断しながら活動を広げている。